昨年の全国的な山の木の実の大凶作に伴う、クマ(朝日連峰ではツキノワグマ)の人里への出没と、そこでの人間との衝突問題。2026年も春先から出没、衝突のニュースが増えてきています。朝日連峰にもツキノワグマはたくさん生息しています。これだけ原始の森が広がる広大な山域ですので。大型哺乳類が生息しているということは、それを育むだけの食料があり、住処があるということですので、山・森が豊かな証拠で、誇れることだと思います。
よく「クマはいますか?クマに会わないですかね?」という問い合わせをいただきますが、不思議でしょうがありません。山はクマのすみかなのです、家なのです。いて当然です。山に登る・入るということは、我々人間が「クマのおうち」にお邪魔しているのです。それを忘れないで欲しいです。ですので当然、「ここに私はいますよ、歩いていますよ、お邪魔してますよ」という合図をしましょう(クマ鈴などの鳴り物をつける)。そういうことをちゃんとしていれば、よっぽどのことがなければ、我々より感覚の優れているクマの方が先に気づいて避けてくれると思います。
これまで約50年、朝日鉱泉で把握する限り、朝日連峰で「登山者が山登りをしていてクマに襲われた」という話は一度も聞いたことはありません。もちろん見た人や痕跡を見つけた人は山ほどいます。また山菜採りやキノコ採りなど、道なき道を山奥へ分け入るような人が出合い頭などに襲われたという話は聞いたことがありますが、登山道を鳴り物を鳴らして歩いている登山者をクマが襲うという話は聞きません。
だからこの先も何もないという保証はもちろんありませんが、鳴り物を鳴らすなどやるべきことをしっかりして、お邪魔しているという謙虚な気持ちで山に入るという心がけ、そして万一遭遇した際の対処法などをきちんと学んでおくという姿勢が大事なのではないでしょうか。それでも怖いと思う方は、山に来ないのが一番です。
ただし、付け加えておきますと、今までの話は、あくまでも「本来のすみかである山にいるクマ」への考え方です。町場、市街地に出没しているクマには当てはまらない可能性がありますので、その点はご了承ください。
最後に…勝手な想像かもしれませんが、大凶作によりすみかである山に食べ物が本当になく、生命を維持するため、または子どもを育てるためにさまよい続けるうちに里に下り、そこで偶然見つけてしまった、果樹や野菜や人間の食料。簡単に手に入ってしまえばくせになり、それを手に入れるために、より人間の生活圏に近づいてしまう。結果、人間との衝突も増えてしまい、駆除されてしまう…。人を傷つけてしまってはしょうがないとは思いますが、どこか一方的に悪者扱いされてしまっているクマに、少なからず同情の念を抱いてしまうのは私だけでしょうか…。
(朝日連峰では今年は春先にブナの花が数年ぶりに咲き乱れました。このままいけば秋にはブナの実が大豊作になるでしょう!どこかのクマがこれを見ていたら、他のクマに伝えてほしいなぁ。)