今シーズンの今の山の状況は、冬の2月の大雪、春先3~5月の低温、悪天候などの影響もあり、全体的に残雪が多くなっています。ただ、日当たりのよい南斜面や稜線上などはここのところの好天高温でドンドン融けて夏道が出てきています。今の時点で、現地確認できたり、山小屋関係の皆さんよりいただいた状況をまとめます。
◆朝日鉱泉からのコース①「鳥原山コース」

鳥原山の避難小屋(木道部)まで、雪を踏む個所はありません。夏道もしっかりしています。途中の金山沢の水量は多めで、暖かい日中には慎重に足場を探さないと靴が濡れる可能性があります。濁りがなければ水は飲めます。鳥原山避難小屋すぐ手前の木道脇の水場も出ており、水量も豊富です。貴重な給水ポイントです。
鳥原山避難小屋の木道から鳥原山展望台(山頂部、小朝日岳への登山道上)までの間では、雪面を少し上る箇所がありますが、ツボ足で大丈夫です。登山道を見失わないようにしましょう。天気が良ければ展望台からは大朝日岳と小朝日岳山頂が一望でき、深緑と残雪の素晴らしいゼブラの山並みが楽しめます。

展望台から小朝日岳まではいったん鞍部まで下りて、登り返しますが、登りの途中では何度も残雪を歩きます。長くて150m、短ければ数十mです。凍っている雪ではありませんので、登りでは慣れている人ならばキックでも登山靴のまま歩けます。ただ、傾斜がキツイところでは軽アイゼンないし、チェーンスパイクとストックがあると安心安全です。特に下りの場合には装着することをお勧めします。
小朝日岳山頂からはやはり素晴らしい大朝日岳山頂の眺めを楽しむことができます。ただ、本来もう少し早い時期に出ている虫(ブヨやメマトイその他)が大量にいます。もう少し暖かくなって雪が融けると減るとは思いますが、先週時点ではゆっくり休憩、食事という感じではありません。虫よけスプレーはもちろん、防虫ネットも必須です。
その先では、毎年7月中旬くらいまで残る、銀玉水の水場の前の斜面が数百mの長い残雪斜面となります。こちらもチェーンスパイク、もしくは軽アイゼンとストックが必要です。朝日連峰一と言われる「銀玉水(ぎんぎょくすい)」の水場は雪が多く、まだ出ていません。それ以後は問題なく、大朝日岳山頂まで登ることができます。大朝日岳山頂から一番近い水場「金玉水(きんぎょくすい)」もまだまだ雪の下で出ていません。水は雪を融かして得ることになります。
【まとめ】
・給水可能な水場は、金山沢、鳥原小屋前
・雪に埋もれて出ていない水場は銀玉水、金玉水
・できれば軽アイゼンとストック、せめてチェーンスパイクは必須
・虫よけ対策のスプレー、防虫ネットは必須
◆朝日鉱泉からのコース②「中ツルコース」

前半の朝日川渓谷沿い朝日鉱泉~2合目出合いまでの間の登山道整備は終了しています。ただ、出合いまでは標高はあまり変わりませんが、小さなアップダウンもあり、道も細いですので、注意しながら行く必要があります。念のため、ヘルメットの着用を推奨します。途中でいくつも小沢を渡りますが、濁っていなければ飲めます。ロープを使って沢に降りる箇所が2か所ありますが、朝日鉱泉から進んで2か所目の沢は大きく、まだ水量も多いので、足場をうまく確認、選ばなければ濡れる可能性があります。2合目出合い直前の水場「階段の橋(壊れていて横を通れます)」は水量もあり、2合目からの急登り前の貴重な水場です。
2合目からの登りでは、今年は倒木が多くありましたが除去も終わっており、雪を踏まずに山頂まで登れます。途中の4合目の水場「長命水(ちょうめいすい)」は6/10時点では雪に覆われて給水できませんでした。普段からあまり水量も多くなく、ロープで崖のようなところを降りていく場所ですので、あてにしない方が良いです。ただ、夏装備で山頂まで行くことができます。
【まとめ】
・給水可能な水場は2合目「出合い」までの小沢(濁りがない場合)、出合いの少し手前の「壊れた階段の橋」の沢の水もOK
・4合目長命水は雪で×
・夏装備で登山可能
・虫がいるので虫よけスプレー、防虫ネットは必須
◆朝日鉱泉からのコース③「御影森山・平岩山コース」

現状で朝日鉱泉~上倉山先(大クロベの巨木)までの現地踏査情報になりますが、雪を踏む個所はありません。中ツル尾根などから見た様子だと、御影森山~平岩山~大朝日岳の稜線は雪は融けていますので、南向きで稜線歩きとなるこの部分では雪を踏む個所はほぼないと思われます。ここは例年雪がなくなるのも早い箇所です。
上倉山~御影森山では、御影森山山頂手前などで雪を踏む可能性はあります。ツボ足で問題ないと思われますが、チェーンスパイク、ストックがあれば万全でしょう。
上倉山山頂の少し手前の水場は出ていて給水可能です。御影森山と平岩山の間にある「大沢峰」の水場は未確認ですが、雪が遅くまで残る箇所でもありますので、雪に埋もれている可能性が高いです。あてにしない方が良いでしょう。
【まとめ】
・確実に給水可能な水場は「上倉山手前の水場」、「大沢峰」の水場はあてにしない。出ていたらラッキー
・雪で危険な個所はなし、念のためチェーンスパイク、ストックがあるとなお良し
・虫がいるので防虫スプレー、防虫ネットは必須
◆朝日連峰主脈の縦走路
大朝日岳~竜門山~以東岳~大鳥池~泡滝ダムの主脈縦走路は、朝日連峰を最も味わえる素晴らしい縦走路ですが、今年は残雪がだいぶ多いようです。各避難小屋の関係者の皆さんからの情報では
以東小屋の水場→×
竜門小屋の水場→×(水源地雪崩のため遅くなる可能性ありとのこと)
大朝日岳避難小屋の水場(金玉水)→×
とのことです。
まだしばらくは、雪を融かしての水となるでしょう。